(横山, 他 2009) 自閉症と「指示待ち」

自閉症児は、さまざまなストレス等により気分障害を合併すると、時に自発性が極端に低下してしまう。このような場合、通常は日常的に行える行動が、他人に指示されるまで行えないことがある。この状態を、「指示待ち」と呼ぶようだ。このような症状が疑われる場合には、早期に主治医に相談し、適切な治療を行うべきである。

知的障害を伴う自閉症児(者)の抑うつ症状としての「指示待ち」と治療的介入(原著論文)

http://www.fujisan.co.jp/images/products/backnumbers/622072.jpgAuthor:横山浩之(山形大学 医学部看護学科臨床看護学), 廣瀬三恵子, 奈良千恵子, 涌澤圭介, 久保田由紀, 萩野谷和裕, 土屋滋, 飯沼一宇
Source:脳と発達(0029-0831)41巻6号 Page431-435(2009.11)

Abstract:「指示待ち」はすでに獲得された日常生活行動をスモールステップな指示があるまで待つ状態である。中等度以上の知的障害を伴う自閉症があり、「指示待ち」を呈した9症例を検討したところ、全例で大うつ病エピソードを満たし、気分障害の合併と診断し得た。9症例のうち7症例でfluvoxamineが「指示待ち」を含めた抑うつ状態に有効であった。無効例ではrisperidoneやvalproate sodiumが有効であり、これらの症例が双極II型障害である可能性がある。「指示待ち」は気分を言語表現できない自閉症がある児(者)にとって、抑うつ状態の症状であり、診断上有用と考えられた。