(笠貫, 他 2011) 自閉症と異食行為

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/thumb/d/d8/Luvox25.jpg/150px-Luvox25.jpg自閉症患者には、比較的異食行為が多い。異食行為と一口に言っても、その内容としては食物以外のものを食べる場合から、特定の食品・飲料を異常な量摂取する場合など、様々である。

異食行為に対する治療法は確立されていないが、この症例報告ではFLVX(デプロメールルボックス)が有効であった。SSRIは作用発現に時間がかかる場合が多く、効果発現までに1ヶ月ほどかかる場合があることに留意すべきだろう。

自閉性障害に伴う異食行為に対してfluvoxamineが著効した1例(原著論文/症例報告)

http://www1.e-hon.ne.jp/images/zasshi/jan_r/27/49100562705160250011.JPGAuthor:笠貫浩史(順天堂大学 医学部精神医学講座), 安宅勇人, 馬場元, 酒井佳永, 鈴木利人, 新井平伊
Source:精神医学(0488-1281)53巻1号 Page39-41(2011.01)

Abstract:異食行為の増悪により入院加療を要したが、fluvoxamine(FLVX)が奏功した自閉性障害の症例(36歳男性)を経験した。異食行為に対するFLVXの効果についての報告はこれまでにないため、自験例を提示して考察を加えた。本例は13歳の頃、野草をたびたび異食するため近医精神科を初診した。20歳時に自身の頭髪やドッグフードの異食行為が増悪し、病的多飲水も生じたため、当院に約1年間入院した。FLVX投与により、常態化していた異食行為が消失し、強迫的な要求・固執性や不安・衝動性にも効果を認めた。効果の背景にはセロトニン欠乏状態が改善され、さらにはα受容体アゴニスト作用によって認知の歪みが部分的に修正された可能性が推察された。