2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

バイリンガル失語症

バイリンガルに言語障害はつきものであるが、そのなかでも最悪の状態が「バイリンガル失語症」である。バイリンガル失語症と一口にいっても、例えば障害を受けているのが第一言語なのか第二言語なのか両方なのか、障害のタイプはウェルニッケ失語なのかブロ…

(Kilgore 2011) バイリンガルの語彙獲得

バイリンガルの語彙力は、言語に曝されるほど発達する。またバイリンガルにとっては、語彙の理解よりも産生の方が難しい。 The Plymouth Student Scientist, Vol 4, No 1 (2011) Vocabulary acquisition in bilingual children: Are they more delayed in En…

(Verhoeven, Steenge & Balkom 2011) バイリンガルSLIの診断マーカー

バイリンガルにおけるSLIの発生を抑えることは、現状では不可能である。早期に発見することができれば手遅れになる前に治療的介入を行うことができる。しかし、そもそもバイリンガル教育においては、正常な経過でも「一時的な言語障害」が発生することが知ら…

(森 2010) 自閉症とGABA

最近自閉症とオキシトシンとの関連性がクローズアップされている。しかし自閉症は単一疾患ではなく、症状の近い疾患の集合体としての症候群である。オキシトシンのみですべての症例を説明できるとは考えにくい。GABAニューロンも、少なくとも一部の自閉症発…

(Stavrakaki, Chrysomallis & Petraki 2011) バイリンガルSLI発現と各言語の特徴

バイリンガルにおけるSLIの発現には各言語の特徴が影響しているということを、客観的データを持って示した論文。英語・日本語のような、より言語間の距離が離れた組み合わせであれば、SLIの発生はより深刻であろう。 Clin Linguist Phon. 2011 May;25(5):339…

(Stahmer, Akshoomoff & Cunningham 2011) 自閉症とコミュニティプログラム

自閉症からは、一生逃れることができない。自閉症として生まれてきたからには、自閉症という状態と一生共存していかなければならない。今のところ有効な治療法はない。そして、その有病率は上昇しつつあるという有力なエビデンスがある。どうすればいいので…

(菊池 n.d.) わが子をバイリンガルにする方法

わが子をバイリンガルにする方法 タイトルに惹かれて読んでは見たものの、あまり参考になるような内容はありませんでした。 個人的には、英語で話しかけたい、英語の歌を沢山聞かせたい、本を読んであげたい、一緒に英語の DVD が見たいなどあるのだが、一体…

(酒井 2005) (鄭 2007) 第2言語習得と左下前頭回

大脳の左下前頭回が言語表出機能を担っているという知見は、古くから存在していた。これは、第2言語習得度とfMRIでの左下前頭回機能が相関しているという興味深い論文。 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 25 (2005) , No. 2 pp.153-164 言葉の脳内処理…

(Pelsser, et al. 2011) ADHDと制限除去食

この結果から、ADHDの中には食事が原因のものも存在していると言っていいのだろう。当然のことながら、食文化の異なる日本で同じことをやっても、まったく同じ結果は期待できない。しかも、ADHDは「症候群」であり、実態としては様々なメカニズムの病態が混…

(Baskerville & Douglas 2010) 行動障害とドーパミン・オキシトシン相互作用

様々な精神疾患における行動障害と、ドーパミン・オキシトシンの相互作用が関連していることが解明されつつある。研究が進めば、治療や高精度の早期診断に役立つことが期待できる。 CNS Neurosci Ther. 2010 Jun;16(3):e92-123. Dopamine and oxytocin inter…

(Cubala-Kucharska 2010) 自閉症の症状と治療法

感染とか毒素とか、いろいろとかなり怪しい論文。「免疫システムの欠損は、今までに研究された大多数の自閉症患者で生じている。」なんて話、聞いたことないし。こんなもの読むに値しないですね。 Acta Neurobiol Exp (Wars). 2010;70(2):141-6. The review …

(Zwaigenbaum 2010) 自閉症の早期発見

自閉症は早期介入が重要であるが、そのために必要な早期発見の研究も進歩を続けている。 Curr Opin Neurol. 2010 Apr;23(2):97-102. Advances in the early detection of autism. Zwaigenbaum L.Department of Pediatrics, University of Alberta, Glenrose …

(Yamasue, et al. 2009) 自閉症とオキシトシン

最近話題のオキシトシン。現時点では最も有望な治療薬となる可能性を秘めていると言っていいだろう。これは日本人研究者による総説。 Psychiatry Clin Neurosci. 2009 Apr;63(2):129-40. Oxytocin, sexually dimorphic features of the social brain, and au…

(Shin Kim, et al. 2011) 自閉症の有病率

自閉症の有病率は増加しつつあると言われているが、正確な数値はよくわかっていない。これは最近行われた、韓国における大規模調査研究。2.64%ということで、従来言われてきた値よりも高い結果となっている。「他のASD亜型」というのは、アスペルガーを指す…

(Pihko, et al. 2007) バイリンガルSLIの脳機能

現時点では、残念ながらバイリンガルSLIを早期に客観的に診断する方法はない。「一時的セミリンガル」と区別がつかないのだ。バイリンガルSLIには早期介入が有効と言われて入るものの、早期診断ができない以上有効な治療手段がないということになる。しかし…

(太田, 他 2010) 自閉症とolanzapine

olanzapineの商品名はジプレキサ。多動や睡眠障害に対して有効だったという症例報告。 【症候からみる自閉症スペクトラム(臨床経験)】 就学前の自閉性障害児の著しい気分変動、多動、睡眠障害に対してolanzapineが有効であった2症例(原著論文/症例報告/特集)…

学童期の英語学習環境は2年間が限度

日本語力をある程度維持しようと考えた場合、学童期における英語学習環境はせいぜい2年以内に抑えなければならない。根拠としては、以下のような意見が挙げられる。 (角山, 上野 2003) バイリンガルと言語障害 (2)日本語 海外に滞在している日本人家族の子弟…