(中村 2010) 自閉症と神経イメージング

神経イメージングとは、何らかの方法により特に中枢神経の活動性を画像化し診断に利用しようとするもの。現状ではPETやfMRIなどが主な方法である。神経イメージング上、自閉症の脳には通常とは異なる特徴があり、最近ではそれらの所見とミラーニューロンシステムやセロトニン系の異常との関係を指摘する研究が増えてきている。将来的にはこのような検査結果から、個々の症例に対して適切な治療法が選択できるようになる日が来ることが、強く望まれる。

脳波・筋電図の臨床 広汎性発達障害の神経イメージング(解説)

http://www.nagaishoten.co.jp/search/img/44.jpegAuthor:中村昭範(国立長寿医療センター 長寿脳科学研究部脳機能再生研究室)
Source:臨床脳波(0485-1447)52巻7号 Page379-384(2010.07)

Abstract:1)広汎性発達障害の中核をなす自閉症スペクトラム障害(ASD)に焦点を当て、その神経イメージング検査の代表的所見について概説した。2)ASDでは、特に小児期に全脳容積の増大や、前頭葉を中心とした灰白質と白質のボリューム増加といった形態的変化が認められる。3)機能的イメージング検査では、ASDにおける顔認知システムやミラーニューロンシステムの機能的異常を示す所見が認められる。4)神経伝達イメージング検査では、特にセロトニンニューロン系の異常が強く示唆されている。