(渡辺 1985) 自閉症と療育形態

自閉症療育形態の自閉性障害児発達過程に及ぼす治療的効果に関する検討(原著論文)

Author:渡辺純(大阪大学 精神医)
Source:大阪大学医学雑誌(0369-710X)37巻3号 Page81-96(1985.08)
Abstract:2つの異なった集団療育形態の中での,自閉症児の発展過程に及ぼす治療的効果に関して比較検討した.対象は,公立自閉児施設S園とH市内の公立保育所の合計124名であり,この対象を用いて,治療中の自閉症児の状態や特徴を把握するための横断的分析と,時間経過による発達変化を知るための縦断的分析を,チェックリストを用いて,因子分析法により検討した.1)自閉症児の全体の発達傾向として,3歳〜6歳の時期に,社会化の芽ばえがみられる反面,病的行動が顕在化,明確化してくること,2)生活習慣・身変処理,認知・理解等の発達スキルは,両療育機関での発達の方向は,同様であったが,施設での変化が大であった.3)自閉症の病理性については,施設での改善が,保育所に比べて大であり,保育所での変化には,多様性がみられた

病的な症状の改善は、保育所よりも自閉症児施設の方が良好であった。