(瀬川, 他 1992) 自閉症児と睡眠障害

睡眠・覚醒サイクルの発達と成熟後の行動 自閉症児についての検討(原著論文)

Author:瀬川昌也(瀬川小児神経学クリニック), 加藤美雪, 加藤醇子, 他
Source:厚生省精神・神経疾患研究委託費研究報告書 高次脳機能の発達とその障害に関する基礎的並びに臨床的研究平成3年度 Page85-95(1992.03)
Abstract:経時的に経過を観察し得た27名の自閉症児の検索から,睡眠・覚醒リズムの改善した年齢と利き手決定及び反響言語以外の有意味語二語を発した年齢とよく相関し,また,それは新しい環境への順応障害,社会性の欠如,同一性の保持,多動及びパニック等自閉症症状の改善や,階段の交互降りが可能となる等,運動機能異常の改善に先行した.有意味語発語には右利きとなることが強く相関していたが,IQ又はDQの改善には,睡眠・覚醒リズムが利き手決定に先行して改善することが相関していた.乳児期早期に睡眠・覚醒リズム障害を呈した3例の検討から,乳児期早期の睡眠・覚醒リズムの障害が,後の行動及び知能の発達に異常をもたらすこと,また,そのリズム障害を早期に矯正することにより,異常行動の出現が予防される可能性が示唆された.さらに,自閉症とRett症候群の対比から,睡眠・覚醒リズム障害の矯正と,それによる異常行動の改善が可能となるためには,少なくとも青斑核と,淡蒼球-視床-皮質路が機能的に保たれている必要があることが予想された

自閉症睡眠障害改善は言語発達と相関し、その後の運動機能・知的機能改善とも関連していた。