どのようなバイリンガルを目指すべきか

ミッション:バランス・バイリンガル

一言に「バイリンガル」といっても、ピンからキリまであります。目指すべきバイリンガル像により、選択すべき方法論も当然変わります。めぐちゃんはどのようなバイリンガルを目指すべきでしょうか? わたしは「日本語も英語も仕事に応用可能なレベル」を目指すべきだと考えます。永住権が取れてアメリカで暮らすか、永住権が取れずに日本へ戻るか、どちらかわからない以上、英語も日本語も捨てるわけにはいきません。「めぐちゃんをバランス・バイリンガルに育てる」、これが我々が目指すべきミッションなのです。

帰国子女がバランス・バイリンガルになれる難易度

ではその目標の難易度はどの程度なのでしょうか? 以下はCambridge大学ESOL試験委員、慶應大学ビジネス英語講師の日向清人氏のblogからの引用です。

帰国子女というと、みんな英語ができるイメージがもたれていて、気の毒です。なかには、自分は英語圏にいたのだから、もっと英語ができていいはずなのに、たいしたことがない、冠詞もわからないと不安を抱えている人もおおぜいいます。それなのに、仲間からは別格扱いされ、複雑な思いを強いられたりもします。

そうした帰国子女は英語ができるのかと聞かれたとしたら、たしかに発音はいい人が多いけれど、一般的には水準に達していないというのが私の答えです。世間のイメージどおり、英語に不自由がなく、同世代の英米人にひけを取らないレベルの人は、例外です。しかも、日本語の方も水準に達しているとなると例外中の例外でしょう。

日向氏は、どうやら帰国子女がバランス・バイリンガルになる可能性は低いんだよと言いたいようです。帰国子女にとって「狭き門」の慶應大学の在学生でもこの程度のレベルにすぎないことに、わたしは驚いてしまいました。なぜなら、慶應大学の帰国生入試の募集要項は非常にレベルが高いからです。帰国子女受験上位10校とその偏差値は、こんな状況です。

大学 偏差値
東京大 70
京都大 67.5
東京外語 67.5
一橋大 67.5
慶応義塾 65.5
早稲田 65.5
大阪大 65
御茶ノ水女子 62.5
九州大 62.5
神戸大 62.5

日向氏はこうも書かれています。

実際、英語を聴き取る能力は英語に日々触れるという経験がない人と比べ、当然いいわけですし、また択一程度の英語の問題などは慣れていますから、帰国子女の大学生だとTOEICで800点、900点クラスはざらにいます。学生どうしで、誰々は「帰国」だから英語はすごい、パーフェクトだみたいな話が出るのも無理もありません。
しかし、そういった「帰国生で、すごい」学生の答案を採点したり、発音を聞く機会のある身からすれば、9割かたが水準以下です。

日向氏の意見をまとめると、このようになります。

  1. 帰国子女は英会話能力は高く、TOEIC900点クラスはざらにいる
  2. 帰国子女で、年齢相応の英語を話せる人は例外
  3. 帰国子女で、年齢相応の日本語を話せる人は例外中の例外(1割程度)
まとめ

どうやらめぐちゃんが目指すべきバイリンガル像が見えてきました。めぐちゃんが目指すべきは「年齢相応の英語・日本語を話せるバイリンガル」、いわゆるバランス・バイリンガルです。偏差値65以上の慶應大学の帰国子女でさえも、そのレベルに達しているのはたかだか1割程度。ハードルは高いが、決して不可能ではない。

私のミッションは、この「目指すべきバイリンガル像」を実現するための方法を探すことです。