バイリンガルは果たして進学に有利なのか?

裕子は留学のメリットとして、帰国子女枠の存在を指摘していた。

帰国したとき、岡崎先生と電話で話しましたが、めぐのチャンスもよく考えて生かすように、と言ってくれました。
(途中略)
HMに残ってもいいし、修了書が出る学校に移ってそれを持ってかえれば、万一、成蹊が合わなくなったとしても、帰国子女枠を使って他に行けるというメリットがあります。次の留学のとき、間違いなくヒストリーがあがります。

岡崎先生は人間としては尊敬すべき人だ。間違いなく良い先生だ。しかし、帰国子女の最近の動向を理解しているかどうかは、少し不安に思う。帰国子女枠は、今や「狭き門」なのだ。

帰国子女枠入試概況
簡単に近年の帰国子女の概況をまとめてみました。全ての学校に当てはまるわけではありませんが、「帰国子女枠入試」=「入りやすい」というのは過去のものとなってしまいました。日本国内で「全入時代」と騒がれている受験界ですが、帰国子女入試に関しては元々が少数募集ですので難しさは変わっていないようです。

こんな話もあります。帰国子女枠に予備校通いが必要とは・・・。

参考までに、大学入学時の帰国子女枠は、親の海外赴任でついていった子供が優先で、私費留学の場合、2年以上の在学期間があり、海外の高校を卒業することという条件がつく大学が多いです。また、有名大学の帰国子女枠入試は、専門の予備校へ通わなければならないほど激戦だそうです。

最近もこんなニュースがありました。門は狭くなる一方です。

福井大は1日、2012、13年度の春に入学する学生の選抜方法を変更すると発表した。帰国子女枠を廃止するほか面接や書類選考によるAO入試の出願要件を厳格にする。

帰国子女枠は縮小されつつあります。理由は単純です。帰国子女に対する認識が変わってしまったのです。「国際感覚の優れた優秀な集団」という虚像から、「日本の文化に馴染めない落ちこぼれ集団」という実態を学校側も理解してしまったのです。帰国子女を優遇する合理性がない以上、これからも枠は小さくなり続けるはずです。

まとめ
  • バイリンガルが進学に有利」という考えは、捨て去るべき。そのような状況は終わってしまった。一方で、たとえ帰国子女枠などなくても、めぐちゃんの能力なら進学に何の問題もないはずだ。私はそう信じている。
  • 進学上有利でないからと言って、バイリンガル教育すべてを否定する理由にはならない。バイリンガルの「真の利点」は、そんなことではないはずだ。