学童期の英語学習環境は2年間が限度

日本語力をある程度維持しようと考えた場合、学童期における英語学習環境はせいぜい2年以内に抑えなければならない。根拠としては、以下のような意見が挙げられる。

(角山, 上野 2003) バイリンガル言語障害

(2)日本語
海外に滞在している日本人家族の子弟にとって日本語は早くから身についた言葉であり、家で日本語を話し、日本人の友だちと遊んでいる限り、母国にいるような日本語は維持されると考えがちだが、実はそうではない。滞米3〜4年目になると、どんな子どもにもある程度「日本語の崩れ」が見え始める。

英語学習環境では、日本語のレベルを挙げることなど不可能であり、維持することすら非常に困難である。英語学習環境で2年過ごすということは、たとえうまくいっても2学年程度の日本語の遅れが生じるのである。3年目に入ると日本語の崩れが顕在化してくるため、2年以内に抑えるべきであろう。

西大和学園カリフォルニア校校長の西川勝行氏の記述。

1 ダブル・リミテッド・バイリンガルになってしまうことを避けなければいけない
ダブル・リミテッド・バイリンガルとは、日本の教育での当該学年の国語力も、アメリカの教育の当該学年の学力もついていない状態のことを言います。特に2学年以上の国語力の開きができてしまうと、修復がとても難しくなります。この状態になって日本に帰国してしまいますと、将来の進路に響くことになります。

2学年以上日本語力が落ちてしまうと、その後の挽回は非常に困難になる。この意味でも、学童期の英語環境での学習は2年以内に抑えるべきである。

外国・帰国子女の言語力研究者の小野博氏の記述。

学年に比べ2学年下くらいまでのレベルの日本語力があれば、学校の授業や友達との会話の理解には不自由しませんが、それより低いレベルであれば日本語の取り出し教育などが必要だと思います。特に外国語力も同じように低い場合は、教科学習のレベルも低い場合が多く、このような判定を学校でされた場合は担任の先生ともよく連絡を取り、日本語学習と共に基礎学力を付ける努力をすべきでしょう。

小野氏の意見も西川氏の意見と同様であり、2年以上日本語力が低下すると、その挽回には特殊な教育が不可欠となってしまう。繰り返すが、学童期での英語環境学習は2年以内に抑えるべきである。