(太田, 他 2010) 自閉症とolanzapine

olanzapineの商品名はジプレキサ。多動や睡眠障害に対して有効だったという症例報告。

【症候からみる自閉症スペクトラム(臨床経験)】 就学前の自閉性障害児の著しい気分変動、多動、睡眠障害に対してolanzapineが有効であった2症例(原著論文/症例報告/特集)

Author:太田豊作(奈良県立医科大学 精神医学講座), 飯田順三, 澤田将幸, 岸本直子, 根來秀樹, 定松美幸, 岸本年史
Source:精神科治療学(0912-1862)25巻12号 Page1669-1677(2010.12)

Abstract:自閉性障害の興奮や攻撃的行動などの症状に対する非定型抗精神病薬の有用性を示す報告が数多くみられるようになってきている。非定型抗精神病薬の中でolanzapineについての本邦における報告は、成人への使用の報告に限られており、小児の報告はない。今回、5歳と6歳という就学前の自閉性障害児2例の著しい気分変動、多動、睡眠障害に対して、olanzapineを使用し良好な経過を得たので報告する。各症例で症状が改善し安定した1日投与量は、2.5mgと1.0mgであった。2例中1例で日中の眠気の副作用がみられたが減量することで消失し、他方の1例では副作用はみられなかった。これらのことから、小児の自閉性障害の著しい気分変動や多動などに対してolanzapineは有用な薬剤と考えられた。今後、本邦においても副作用に十分に注意しながら、小児の自閉性障害への薬物治療についての研究報告が集積されることを望む。(著者抄録)