(高橋 2010) 自閉症の診断

自閉症は年齢により症状の出現が変化する。2~3歳程度であれば、診断は比較的難しくない。青年期であっても、積極型と孤立型では診断は容易であるが、受動型では特徴的な所見が余り無いため、診断が困難である。このような場合には、過去の症状を診断の参考とすることが重要となる。

【症候からみる自閉症スペクトラム自閉症スペクトラム障碍の発達に伴う症状の変化と成人期の診断(解説/特集)

Author:高橋脩(豊田市こども発達センター)
http://xc524.eccart.jp/y922/images/147_l.jpgSource:精神科治療学(0912-1862)25巻12号 Page1567-1571(2010.12)
Abstract:自閉症スペクトラム障碍(ASD)の乳児期から青年期に至る特徴的症状の発達的変化について述べた。ASDでは、乳児期後期にまず対人関係と前言語的コミュニケーションの領域で特徴的症状が出現し、次いで1歳から2歳にかけて同一性保持傾向・変化への抵抗や興味限局・常同行動が加わる。高機能群も含め2、3歳で最も診断が容易となる。その後は、Wing,L.の臨床類型によって経過が異なる。青年期になっても積極型と孤立型では特徴的諸症状を認めることもあり比較的診断が可能である。これに対し、受動型では症状が目立たなくなるため、診断の困難性が増す。いずれにしても、青年期の診断には、(1)現在、診断基準を満たす諸症状が認められる、(2)現在、診断基準を満たす特徴的諸症状がいくつか認められ、幼児期から学童期初期にかけて診断基準を満たす諸症状が確認される、のいずれかの条件を満たすことが必要である。