(飯田 1995), (飯田 1997) 自閉症と漢方薬

自閉性情動に対する大柴胡湯の影響(原著論文)

Author:飯田誠(国立精神・神経センター精神保健研究所)
Source:漢方と最新治療4巻4号 Page395-403(1995.11)
Abstract:緊張が高く,精神安定剤や睡眠剤の効果が十分でない自閉症50名に対して,大柴胡湯エキス顆粒或いは錠剤を用い,好ましい結果を得た.早期に現れる変化は睡眠障害の改善であり,次に感情失禁による大爆発が減弱から消滅に進んだ,ききわけが良くなってきた,コミュニケーションを求めて自分から働きかけてくるようになった,話し方が普通に近くなってきた等が現れた.これらの変化は,経時的に現れてきた.この現象は自閉症の高度の緊張が緩和することによって起こってきた変化であると思われる

自閉症の情動障害に対する漢方エキス剤の効果(原著論文/症例報告)

Author:飯田誠(飯田医院)
Source:漢方診療(0288-3643)16巻5号 Page15-20(1997.10)
Abstract:漢方エキス剤単独,或いはハロペリドール,カルパマゼピンとの併用によって,情動障害の顕著な改善を得ることができた例を経験した.最も効果が得られたものは,大柴胡湯,四逆散,抑肝散であったが,それらとハロペリドール,又はカルバマゼピンとの併用が有効な場合もあった.改善された問題は,不眠,他害,自傷,カンシャク発作(パニック),多動,奇声,強迫行為,会話能力,疎通性,情緒的かかわり等であり,それらは急激な変化ではなく,徐々に経時的に変化を示した.これらの経過から,自閉症の病態は漢方医学的には肝気鬱結であろうと考えられる

自閉症に大柴胡湯、四逆散、抑肝散等を投与することにより、睡眠障害改善、感情失禁、コミュニケーションの改善等が認められた。