(湯本 2003) イマージョン・プログラム

イマージョンプログラムとは、学校教育における第一言語第二言語の使用状況をコントロールすることにより、バイリンガル育成を目指す教育方法である。カナダはイマージョンプログラムを採用することにより、世界で最もバイリンガル教育を成功させている。成功の理由は、以下の点にあると考えられる。

  1. 英語とフランス語の距離の近さ
  2. 就学前からの、早期トータルイマージョン教育

神奈川県立外語短期大学紀要. 総合篇 26, 1-29, 2003-12

カナダのバイリンガル教育・日本のバイリンガル教育 : イマージョン・プログラムの概略と評価

Bilingual Education in Canada and Japan : An Immersion Program and its Evaluation
湯本 和子
YUMOTO Kazuko
英語学
神奈川県立外語短期大学

  • カナダのイマージョン教育は、1965年から行われている。
  • カナダでは英語とフランス語の両方が公用語。強いインセンティシー。
  • 形態による分類
    1. 完全イマージョン (Total Immersion):第二言語の使用率を100%から徐々に減らし、中学校の段階で50%とする。
    2. 部分的イマージョン (Partial Immersion):第一言語第二言語を50%程度ずつ併用する。
  • 時期による分類
    1. 早期イマージョン (Early Immersion):幼稚園〜小学校1年時に開始
    2. 中期イマージョン (Delayed Immersion):小学校4〜5年時に開始
    3. 後期イマージョン (Late Immersion):中学校時に開始
  • 特殊なイマージョンプログラム
    1. 二重イマージョン (Double Immersion):第二・第三言語によるイマージョンプログラム
    2. 双方イマージョン (Two-Way Immersion):第一言語第二言語が逆の組み合わせの児童同士でクラスを編成する方法
  • 早期完全イマージョン、または早期部分的イマージョンが一般的。
  • 早期完全イマージョンが最も効果的。
  • 理論的背景
    • 二言語相互依存説 (Interdependent Hypothesis)
    • しきい説 (The Threshold Hypothesis)

CiNii 論文 -  カナダのバイリンガル教育・日本のバイリンガル教育 : イマージョン・プログラムの概略と評価
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カナダと異なり米国では部分的イマージョンが主流であるが、バイリンガルの育成はあまりうまくいっていない。というより、バイリンガルの育成を目指していない。米国では英語の熟達こそが重要な目標であり、他の言語の取得に大した意義はないのだ。

ここでは、子供は、最初に自分の母国語で読むよう指導された場合、英語での読解力が早く上達するという研究結果に基づいてバイリンガルプログラムが組まれています。バイリンガルの擁護者は、たとえば、スペイン語を読むことができない10歳の生徒がメキシコから米国へ移住してきた場合、ただちに英語を読めるようにはならないと主張します。最初のステップは、スペイン語での読みを教え、その後、英語に翻訳するようにさせます。バイリンガルプログラムは100年もの歴史がありますが、近年、子供たちが英語を十分にマスターしないという懸念を訴えます。バイリンガル教育に反対する人は、生徒が英語を読み、話せるようになる最短の近道は、生徒を英語漬けにすることだと主張しています。